「モノの価値」の定義
モノではなく「モノの価値」を売るということは、そのモノが誰にとってどのような価値があるかを定義することである。
例えば釣具の場合、確かに魚を釣るための道具であり、今までは「魚を釣りたい人」が買いに来るお店だった。
メーカーは釣るためのアイデアを形にし、スタッフは釣行を重ね、釣り方を勉強する。
確かに釣りに求める楽しさは釣果がメインだった。釣ること、釣ってから食べること。しかしそれはSNSという個人が発信する手段がなかった時代のことである。家族や身近な友達と釣ること・食べることを楽しむ時代。
しかしモノと情報は溢れ、個人が発信できるだけではなく、発信することにより様々なメリットが教授できる時代となった。
『釣るための道具』というコンセプトの価値は下がり、釣りは「誰にどのような情報を提供し」「その結果どう見えるか」 ということの価値の方が上がったわけだ。
「このアイテムが釣れますよ」「このアイテムが人気ですよ」ではユーザーの行動変容を促すことはできない。
ではユーザーの心理や行動を変えるために必要とされているのは「どのような情報か」「誰が発信すべきか」「どのように見せるべきか」
この点が世の中のニーズでありマーケットである。
「インスタ映え」なんていう言葉はまさにそれである。
常にマーケットや世の中の動きにアンテナを貼り、早いタイミングで変化を捉え、自身を変えていかなくてはならない。
「誰に売るか」
「誰に売るか」にフォーカスし、小さくてもその分野で1位を取れればその先は意外と難しくない。そのフォーカスした「誰か」の、現時点での購買プロセスと心理状況、これからの心理変化をしっかりと把握すれば、次のステップ、または派生のステップへ進めることは簡単だからである。
大手モールに出店する場合、残念ながら選択肢は「何を売るか」しかない。「誰に売るか」は大手モールの販売戦略であり、出店店舗にとって良いか悪いかは関係ないのである。
その市場で戦えないのであれば、大手の肩を借りずに自分たちで徹底した顧客分析とゴール設定、それに見合ったブランディングの構築を行っていくことが唯一可能性のある道である。
時代変化に合わせたKPIの見直
また、分析という観点でも変化が必要である。
ECを運用していると、アクセス数やコンバージョン、注文単価やリピート率、LTVなどがKPIになるが、実はここも変えていかないと、なぜ顧客が離れたかを分析しきらない。
顧客の心理変化、顧客の購買体験の変化、 購買経験の蓄積によるマーケット認識の変化、行動×心理の多様化など、今後“顧客”にいかにフォーカスでき、細かな分析ができるかはかなり重要となる。
現時点ではその手法がまだ少ないが、今後様々な顧客データを利用できるようになる。どのデータをどのように活用していくか。 自社サービスで取得できるデータはどのようなものがあるか。今後データ利用に関しては重要な経営戦略となっていく。