マイナスを生む「レガシー」の存在

自社プロジェクト進める際に、会社の様々な既存システムや社風(考え方、やり方)が障害となり「やりたかったことができない」「思ったような効果が出ない」といったことは、ここ数年特に多いのではないでしょうか。

その理由に『 既存システムや社風(考え方、やり方)が障害 』と書きましたが、これらいわゆる『レガシー』と呼ばれるもの、このレガシーがあまりに『現代』との乖離が大きいからにほかなりません。

レガシー:過去に築かれた、精神的・物理的遺産の意

今回は自社の「プロジェクトの成功」をゴールに『レガシー』の扱い方について考えていきます。

課題から見えてくる”世代ギャップ”問題

私自身も経験したプロジェクトの失敗や、会社・組織の停滞感などから、それらの原因を考えた際に、必ず出てくる共通の事項があります。それは

  1. 関係者の「前提」が違った状態のままPJが進行している
  2. 関係者のゴール認識 が統一されてない ままPJが進行している
  3. ゴールへの効率的な道筋(プラン)が定義されずPJが進行している
  4. 経営層が不参加(責任者が曖昧)

20年ほど前であれば全く問題にならなかったこれら事項(4は除く)。

昔は「情報」は親や学校、地域の人、TVに限られ、大半の人は「同じ情報」を持ち、「同じ思考」を行い、「価値観(良し悪しなど)」も共有していました。

また、「会社」とはヒエラルキー構造が基本概念であり、「上司」は経験においても人生おいても先輩であり、基本的に「上から指示されたことをやる」ことが「仕事」でした。つまり上司の「前提」と「ゴール」「プラン」が共有されていなくても(ある程度似たり寄ったりなため)そこまでの問題は起こらなかったわけです。

しかし、インターネットが普及し、思考の多様化、スキルの細分化が進み、今では「持っている情報・スキル・経験」はもちろん、『概念』『価値観』細分化することで共通観念は存在しない時代となりました。つまり「共通観念がない人が集まりプロジェクトを進行する」のが現代の実状です。

このような「実状」があるにも関わらず、昔ながらのやり方や考え方…いわゆる「レガシー」な仕組みでプロジェクトを進めることで問題が発生します。

それは、組織、社風、評価、業務システム、取引先との関係性など、ありとあらゆる分野に存在するレガシーがボトルネックとなるのです。

このボトルネックは、プロジェクト成功のために必要な”業務”の一つとして必ず課題に挙がってくるのですが、当然ながら何年何十年もかけて作った文化や仕組みを (プロジェクト進行中に片手間で) 改善することはほぼ不可能であり 、プロジェクトが失敗に終わったり、プロジェクトメンバーが本プロジェクトとは別のポイントで疲弊し辞めてしまうことになります。

スマホ浸透によるパラダイムシフト

もう一つの理解しておくべき重要なポイントがあります。それはスマートフォンの存在。スマートフォンが浸透したこの約10年で、世の中は”破壊的”に変わっているのです。

ちょうど私の年代(松坂世代)を境目にして、その「破壊的に変化した世の中」に親和性の高いデジタルネイティブ世代(特にZ世代と呼ばれる1990年代後半生まれ)と、それ以前の世代(X世代と呼ばれる1974年生まれ以前の方)との、『当たり前』があまりにも大きく違っていることです。

価値観でいうと

  • 「成功ってこういうことだよね」
  • 「幸せってこういうことだよね」
  • 「楽しいってこういうことだよね」

の回答が全くもって違いますし、仕事に対する考え方としては

  • 「なぜやるのか」
  • 「誰とやるのか」
  • 「どのように関わってほしいか」
  • 「どれぐらいやるか」
  • 「どうやるか」
  • 「やりがい(成果)とはなにか」

などなどが大幅に違うのです。

近年「売り上げを全く気にしない企業」があるように、「ミッションドリブン」や「ハートドリブン」といった言葉が創られる背景を考えると、ちょうど中間世代でどちらも知っている私は、「この溝は短期間で埋まるものではない」と思うわけです。

ボトルネックとなるレガシー発見の方法

プロジェクトが成功せずに終わってしまった際に、関係者全員がそろって振り返りを行うこと自体も非常に重要ですが、その際に「ボトルネックとなった自社のレガシー」についてキッチリと問題提起され、議論されることが重要です。

しかし、 このレガシー問題について触れてくれるスタッフは、御社に一体何人いるでしょうか。

ある意味、プロジェクトと関係ないとも言われかねないこの問題点について、またミドル・経営層であれば「自分たちの過去の成功を問題視する」これらの発言について、素直に耳を傾ける人は何割ぐらいいるでしょうか。

レガシーと言われるだけあり、それは「文化」として根付いており問題はあまりに根深いのです。

イチスタッフがその問題に誰よりも先に気づいたところで、上司や経営層からの反発を受けながらもその問題に取り組む社員など存在しえません。

つまり、解決し前進するためには、経営層がまず第一に「ボトルネックとなりうるレガシーが存在する」ことを認識し認めたうえで、プロジェクトの失敗を、単純に誰かのせいにせず、深く深く『原因を探求する(聴く)』必要があります

つまり今、本当の意味で経営者の手腕が問われているのです。経営者が自社のレガシーに気づくことができるか。この先、それに気付き改善できた企業が残り、できなかった企業は間違いなく衰退するでしょう。

プロジェクトを成功させるための解決策

私個人的な解決の方法としては、「コミュニケーション」しかないと考えています。

今までの業務遂行プロセスの中に、プロジェクトチームで話し合う時間を多く追加することです。

プロジェクト参加者全員で、各自の「前提」についてすり合わせを行うこと。「ゴール」イメージをできるだけ具体的に共有しておくこと。「なぜやるのか」「評価基準」などは事前に共有しておき、各メンバーはどういった想いでこのプロジェクトに関わっており、個人として何を目指しているのか。

必要なのは目標達成のための『チームビルディング』です。

経営層に多いX世代の方からは「打ち合わせは無駄な時間だ」と言われることも多く、スケジュールに含めること自体がまだまだ難しいプロセスであり、それ自体も大きな課題です。

しかし作業が効率化できる現代だからこそ、時間をかけるべきポイントは、ここに尽きると考えます

またこの際に問題になるのが、「組織」的なレガシーであり、経営層がどのようにプロジェクトに関わるか(業務執行と責任の範囲)、また関われないのであれば権限をどのように委譲できるのか、も事前に解決しておくべき重要なポイントとなります。

コアは「柔軟さ」企業文化変革がキー

「問題の発見」ももちろん重要ですが、更に重要なことは「レガシーに問題があることを言える」社内文化です。

問題提起を行うと「うちはこういうもんだから」や「それは無理」などをバッサリと切り捨てる上司がいる企業は非常に問題です。このような社風であり続けると、やはり会社は衰退の一途をたどるでしょう。

スティーブ・ジョブズは「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだ」 と言いました。分野は違いますがこういった「過去の成功を否定してでも新しいものを創造していく」ことを良しとするスタンスを、企業文化として作っていくことが、これから先、生き残ることができる企業なのだと思います。

もちろん、すべてのレガシーが悪いわけではありません。良いレガシーは「企業文化(強み)」として残すべきですが、残すかどうかの判断基準として、経験値や感覚値だけではなく 「破壊的に変化した世の中」「それが当たり前の世代」の存在と、その中身を深く理解した上で行ってください。

また、この先10年20年後、世界は近年以上の変化を遂げることは間違いありません。今の私たちでは全く想像できない未来が待っています

その時に強いのは「環境変化に合わせてすぐに変化できる能力を持つ柔軟な」 企業や個人なのです。

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